利点
- 遺伝子検査は不要: 計算には遺伝子多型情報は必要ありません。
- ワルファリンの服用量、PT-INR値、患者背景因子などを考慮した計算アルゴリズムに新たな指標を採用することで、厳密な管理が必要なワルファリン投与量を高精度に計算することが可能になりました。
- このシステムはモバイル端末での利用を想定しており、院外での管理にも活用できる。
技術概要と背景
ワルファリンは、肝臓での血液凝固因子の産生に関与するビタミンKの働きを阻害することで抗凝固作用を発揮する薬剤で、主に心房細動患者や人工弁挿入患者において血栓症予防に用いられることが多い。ワルファリンは、過剰投与は出血リスクを増大させ、逆に過少投与は血栓症リスクを増大させるため、厳密な投与量管理が求められる。一方で、投与量バランスは個人差があり、同一患者でも食事内容などにより投与量が変動することがあり、定期的な血液凝固検査が必要となるなど、医療従事者と患者双方に負担がかかる。このため、患者の遺伝子多型情報を用いたものをはじめ、ワルファリン投与量を予測・算出する計算式や自動計算プログラムが数多く提案されているが、環境因子や併用薬などの外的要因が反映されず、予測精度が十分ではない。
そこで、研究者らは、上記の問題を踏まえ、ワルファリンの最適投与量を予測・算出する新たな予測プログラムを開発した。この予測プログラムは、投与前日までのワルファリンの服用量、PT-INR値(プロトロンビン時間国際標準化比)、患者背景に基づくその他の要因を考慮したパラメータを用いて、投与翌日のPT-INR値が目標値の範囲内となるように、投与当日のワルファリンの最適投与量を簡単かつ正確に決定することができる。この予測プログラムは、従来の方法と異なり、被験者の各種遺伝子検査結果に関する情報を一切必要としないため、既知の患者情報のみで簡単に予測を行うことができる。
具体的な利用用途としては、スマートフォンやタブレットPCなどのモバイル端末を想定しており、院内だけでなく院外でも手軽に利用できる。そのため、薬剤師による患者への服薬指導や、退院後の患者本人(または介護者)による服薬管理などへの活用が期待される。
特許
特許は日本で出願されており、公開待ちです。PCT
出願の準備中です。
出版物
現在、出版準備段階です。
主任研究者および学術機関
前田 真紀子 博士(大阪大学准教授)
期待
TECH MANAGEでは、上記関連特許のライセンスのもと、研究代表者と連携し、本技術の更なる開発を進めていただける企業を募集しております。研究代表者との直接面談もアレンジ可能です。また、大阪大学とのCDA締結により、未発表データやノウハウの提供も可能です。また、ライセンス前に独占評価などのオプション設定も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
プロジェクト番号 JT-04909